ホクシンでは従来、木質原材料においては品質、製造運用面で優位である広葉樹チップをメインに製造をしてきました。
あるときフローリングを製造販売されるお客様から、加工する際の材料の組み合わせを考慮して「針葉樹チップ」によるMDFの開発を求められました。
しかしながら、当時のホクシンは針葉樹チップによるMDFを量産できる技術がまだまだありませんでした。
※この開発ストーリーは2022年3月時点のものです。
STORY
01
製造部にて設備修繕、製造オペレーターを経て2015年より技術開発部に異動して開発業務に携わる。
A. お客様が製造する製品(フロア)に用いるMDFの色味を淡い色に変えたいとの要望がありました。淡い色に変えることで、最終ユーザーが求める多様なデザインにも対応できるとのことでした。色味が優先であったため、強度などの品質もゼロから考えるところからのスタートでした。
A. 針葉樹チップを活用するという開発テーマはこれまでにも技術開発部として取り組んでいた課題でした。自分がオペレーターを担当していた当時も作れないわけではないが、やりにくい部分があったと認識していました。
初めは過去20年分の実験報告書を読み漁りました。平行して「このアイデアはどうか?」と考えていましたが、思いついたアイデアはすでに過去の実験報告書でトライしているものが多かったです。その分トライしてみなくても結果がわかるというのは非常に助かりましたが(笑)。過去の実験における生産ラインの状況から変わっている部分もあったので、この条件であればできるな、これはできないな、と取捨選択をするのが非常に大変でした。
お客様から具体的な要求品質が無いというのも苦労しました。
-木材は樹種による性質の違いが大きい
品質基準がないのはお客様でも「加工してみないとわからない」からでした。
なので、サンプルをお客様に提供して使って評価をいただく流れで進めていました。この「使って評価をいただく」という流れが非常に大がかりで気軽に何度も試してもらうということが難しかったので、MDFのみでの性能試験を思いつくかぎり行いました。
試作品(サンプル)の提供を繰り返して、ようやく「使える」という評価をもらい、納品スケジュールの目途も立ちました。しかしながら、納品時は季節の変わり目で湿度が大きく変化したため、納品サンプルで反りが発生しました。湿度の影響を鑑みた開発となるとさらに条件を再構築しなければいけないこともあり、一旦サンプルを保管しておき、湿度の影響が小さいタイミングまで待つこととなりました。
A. 本格生産がスタートし、しばらくしたとき、再び進捗確認のため現場に立ち合いに行きました。その際には試作時とは見違えるほど生産オペレーティングがスマートになっていたことです。ホクシンの量産技術はすごいなと思います。
生産が軌道に乗ったあとも、ほかのお客様から類似品の引き合いがあり、開発の苦労が報われたと感じました。
また、特にB to B開発では今はコストが厳しい状況だけど、社会情勢(原材料価格高騰、木材不足など)で翌年にはむしろその開発内容がポジティブなものになるということもあります。目先のコストだけで判断せずに温めておいて中長期的に考えて取り組むことも重要だと思っています。
STORY
02
日本全国の営業経験を持ち現在は大阪営業課のマネジメント業務を行う傍ら新規用途開発と部下の育成に注力する。
A. きっかけはお客様からSDGSを意識して、脱広葉樹の要望が増えたことです。
当社も今まではMDF性能を意識して、広葉樹チップを使った製品作りが主体でしたが、
当社も今後のことを考えると意識改革の必要性を感じました。
A. 針葉樹を材料とした色の白い製品の需要が多いことは認識していましたが、
使い慣れない針葉樹での取り組みに対して賛否両論ありました。
将来を見据えた際に必要な取り組みであることを伝えるのに悩みました。
A. 針葉樹MDF生産に関しての技術的な部分は製造に任せて、先ずは営業としてお客様の要望を聞き取り、それを製造にぶつける。出来た試作品を持ってお客様に評価して頂く。
そのやり取りの中で、製造の方が積極的に取り組んで頂いたり、
お客様から期待されていることが実感でき、普段の営業活動とは一味違う充実感がありました。
A. 営業としてお客様の要望を汲み取り、与えられた課題に対して、
会社全体として取り組むことが出来れば、国内メーカーしかできない
高付加価値な商品作りが出来ると思います。
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