【最新】告示1540号の改正でツーバイフォー建築物の屋根下地と床下地にMDFが使えるようになります
今回は改正とMDFとの関わりについて説明します。
目次
告示改正の背景
改正の背景には国際的な地球温暖化対策が密接に関わっています。日本では、2030年度温室効果ガス46%排出削減(2013年度比)の実現を目指していますが、建築物分野におけるエネルギー消費量は約3割を占めると言われており取組みが急務です。建築物には一次エネルギーの消費を抑えることが求められ、その基準は建築物省エネ法に定められています。
「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)」が同日施行されますが、これによって、ほぼすべての建築物には新省エネ基準の適合が義務化されます。
建築物の省エネ化には断熱性の向上が求められます。結果、重量化する建築物の耐震性等の安全確保を目的として当告示が改正される流れです。なお、1540号は構造部材の制限を、1541号は仕様をそれぞれ規定していましたが、今回の改正で1540号に統合される形となり1541号は廃止されます。※
※関連リンク
<国土交通省ホームページ>
枠組壁工法又は木質プレハブ工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件等の一部を改正する告示(令和6年国土交通省告示第964号)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000096.html
告示改正のポイント
MDFを屋根下地と床下地に使うことができるようになりますが、垂木や根太の間隔に対し適用厚さが定められています。
▷屋根下地
・垂木間隔50センチメートル以下:MDF厚さ12ミリ以上
・同65センチメートル以下:MDF厚さ15ミリ以上
・同1メートル以下:構造耐力上安全と確認されたもの
▷床下地
・根太間隔50センチメートル以下:MDF厚さ15ミリ以上
・同65センチメートル以下:MDF厚さ18ミリ以上
・同1メートル以下:構造耐力上安全と確認されたもの
近年、ツーバイフォー住宅でも床下地として厚さ24ミリ以上の構造用合板を使うケースが増えていますが、今回の改正でも仕様では規定されず、構造耐力上安全であることを確認する必要があります。MDFも同様で注意が必要です。
MDFを選ぶ理由
屋根下地にMDFを使うメリット
床下地にMDFを使うメリット
床下地材としてMDFを使用することで下地品質が安定し、仕上げ材の施工が容易になるため仕上げ面の品質が向上します。ツーバイフォー工法では壁の施工に対し床下地が先行します。この作業中に雨が降ると、一般的な構造用合板による床下地材は水分を吸収して変形し、下地の凹凸やシミの原因となることがあります。程度によっては補修作業が必要となりますが、耐水性に優れたMDFを使用すれば、これらの問題が発生しにくくなります。
結論
在来工法では、すでにMDFが床下地や屋根下地に使用されています。MDFの特性を最大限に活かし適材適所で選択することで、より高品質な建築を実現できるでしょう。